【表現力強化】"Avoir les jetons" - フランス語の恐れ・不安の表現や語いろいろ
Bonjour à toutes et tous!
こんにちは、フランスに住んでいると、ネットニュースやラジオで、聞いたことのない表現に良く出会います。先日もこんな表現に出会いました。
”Avoir les jetons”って?
先日、ネットで、世界的に有名なサッカーのエミリアーノ・サラ選手が乗った小型機がフランス・ナントからイギリス・カーディフに向かう途中で行方不明になったニュースを知りました。今も飛行機は発見されておらず、生存者の発見は絶望的と言われています。サッカーには疎くこの方の事も全く知りませんでしたが、痛ましいことです(追記・先日飛行機が発見されたというニュースを聞きました。故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます)。
ニュースはフランス語で、 選手が最後に残した音声メッセージに言及していました。
その中で、
J'ai les jetons.
という表現が出てきました。
恐怖の表現と排せつの関係?
初めて出会ったのこの表現、ロベール社の表現・成句辞典(Dictionnaire des expressions et locutions)で調べてみました。
すると、フランス語で一般に使われている、
Avoir peur ("J'ai peur")
と同じく、「恐い」という恐れの表現でした。”Les jetons”って、通常は、コインやバッジなどを指します。なんで「コインを持つ」ことが恐れの表現になるのだろう…。
辞書によると、第1次大戦中の兵士たち(彼らはフランス語で”Poilus"という愛称で呼ばれています)の隠語だったようです。
隠語の由来は”Jeter"という動詞です。通常は「捨てる、投げる」という意味で用いられますが、昔は、「排泄する」の意味と同義で使われていたようです。ロワイヤル仏和中辞典に「(鹿が)糞をする(”Jeter ses fumées”)」という文を見つけました。
その意味が拡張して、”Jeter”と関連した名詞”Les jetons”が用いられた”Avoir les jetons”が、恐怖の感情を表す表現になったようです。なるほど~。
確かに、恐怖と排せつは関係しますよね。日本語でも、恐怖の感情が排せつと結びついた表現がありますね。「びびる」や、「恐怖で漏らしそうになる」などそうでしょうか。
フランス語でも、「恐怖で漏らしてしまう」という表現があります。
Faire dans sa culotte.
他に同様の表現に、
Avoir la colique.
というものあります。Avoir peur deを除く上の3つの表現は、かなり砕けた表現なので、大人は使わない方が良いかなと思います。実際、ラジオ局のFrance Infoは、サラ選手のニュースを報道する際、”J'ai trop les jetons(僕はすごく怖い)”を、”J'ai très peur"と言い直していました。
「恐怖」の表現・語 をざっとまとめてみました
他に、ポピュラーな「怖い」の言い方として、
J'ai la trouille(砕けた表現)
J'ai la crainte de (これはちょっとすました言い方)
というのもあります。これはおばさんでも使ってOK(ごめんなさいね~おばさん基準で(;´∀`))。
ラルース社の同義語辞典(1984年、古い版でごめんなさい)には、
Ca m'a donne froid dans le dos.
という表現もありました。訳すと、「恐怖で背筋が凍った」ですね。
また、動詞で、「恐れる、懸念する、心配する」の意味でよく使われるのが、
Appréhender
未来の恐怖に対する恐れに使います。例えば、
J'ai beaucoup appréhendé l'examen. (試験のことがとても心配だった)
同様の意味で使えるのは、
Redouter (Redouter de+動詞の原形)
ですね。どちらも良く使われます。
「怖がりだ、臆病だ」と言いたい場合は、一般的には、
Peureux(se)(例:Je suis peureux「私は怖がりです」)
が使えます。砕けた表現なら、
Froussard, Foireux, Petaux(おばさんは使っちゃダメ)
高尚な言い方なら、
Crantif(ve)
が使えます。
ラルースの同義語辞典には、まだまだ他の語も出てますが、とりあえず良く使うかな、と思った表現や語をまとめてみました。読んでいただきありがとうございました。
A très bientôt !